5.ラリー競技全体の把握

 

 ラリーに参加するにあたって、ラリーの勝敗がどのような仕組みで決まるのか、

これが判らないとラリー中の作業の意味、また重要性が理解できませんので、

ここでは、ラリー競技はどのような物なのかを具体時に説明します。

ビデオなどで、WRC等を見たことがある方は多いと思いますが、

実際、最終的にどのような仕組みで順位が決まっているかを、

しっかりと判っている人は少ないかも知れません。

 

ラリーは林道や一般道で開催されます

 

 ラリーはサーキットなどのレースと違い、車は1台ずつスタートします。

また、国内ラリーは所要時間(タイム)ではなく、減点(点数)によって、

順位がつきます。もちろん「減点」ですから少ない方が、良い順位が付きます。

では、減点のつけ方ですが、以下の3つの要素で決まります。

 

 @オフィシャル(主催者)から与えられた指示速度を厳守できるか

 AS・S(スペシャル・ステージ)と呼ばれる区間の所要時間(タイム)

 Bオフィシャルより与えられた休憩時間や車両の修繕時間を厳守できるか

 

以上の3点で「減点」が決定し、減点の合計点数が少ない順に順位が決定します。

出場するラリーにもよりますが、時間を減点に換算する方法は、

秒計(1秒→1点)、分計(1分→1点)などの減点になります。

では、@ABの減点が具体的にどのように付けられるかをご説明します。

 

  「時速40km/hで走れ」との指示の場合、

  B地点の到着時刻は1時間後になります

  時間ピッタリよりも早くても遅くても

  減点が課せられます。

  B地点手前まで早めに移動し、

  止まって時間調整を試みた場合、

  仮に20kmでチェックポイントが出てきて

  しまうと、チェックポイントに

  到達する時間30分後よりも早く

  チェックポイントに到達してしまい

  大きな減点を課せられる可能性が

  あるので、基本的にはオフィシャルの

  指示速度通りに走る必要性があります。

@オフィシャル(主催者)から与えられた指示速度を厳守できるか

 

 (例) オフシャルからの指示、「A地点よりB地点を時速40km/hで走行せよ」

 

 A地点からB地点までの距離を40kmとします。

 この場合、オフィシャルからの指示に従うとB地点には1時間後に

 到着する必要があります。この時刻は基本的に厳守になりますので、

 秒計のラリーの場合、1秒早くても、1秒遅くても、1点の減点となります。

 この規定どおりの時刻に車両が通過しているかどうかをオフィシャルが

 チェックする地点を 「チェックポイント(CP)」と言います。

 上記の例でいくと少し考えれば、B地点手前まで早く移動し、時間調整後、

 ジャストタイムでB地点を通過すれば、減点を受けずに済むことが考えられますが、

 日本国内のラリーの場合、チェックポイントの位置は知らされておらず、

 何処で通過時刻を計測されるかが判りません。

 この為、あまり早く走りすぎると手前でチェックポイントが出てきてしまった場合、

 大量の減点を付けられる恐れが出てきます。(早着減点)

 上記の理由から基本的に、与えられた指示速度を守った運転が必要となります。

 

 説明を見ていると難しそうに見えますがラリーコンピューターが難しい処理は

 全て行ってくれますので、計算が苦手な方でも大丈夫です。

 

  SSスタートからSSゴールまでのタイムが

  そのまま減点になります。

  速く走った方が、タイムが少ないので、

  減点が少なくなります。

  出場するイベントのレベルが上がると、

  ドライバーの運転技術が高くないと

  上位入賞が厳しくなります。

AS・S(スペシャル・ステージ)と呼ばれる区間の所要時間(タイム)

 

 スペシャル・ステージ通称「S・S」は所要時間がそのまま減点となる区間です。

 オフィシャルからの指示が「B地点先からS・S」の場合、S・Sスタートから

 オフィシャルが設置したS・Sゴールの地点まで、全開で走行することになります。

 もちろん速く走れる方が所要時間が少ないですから、減点も少なくなります。

 仮にB地点からS・Sゴールまで2分34秒かかった場合、秒計のラリーの場合、

 減点154点となります。(1分→60秒ですので)

 

 速く走れるドライバーが減点が少なくなります。ナビゲーターはドライバーが

 集中して運転できるように協力しましょう。また熱くなりすぎる傾向にある

 ドライバーを抑えたりするなどメンタル面で重要な役割を担うことになります。

 

Bオフィシャルより与えられた休憩時間や車両の修繕時間を厳守できるか

 

 こちらの減点は、やや特殊な減点といえるかも知れません。

 通常、ラリーにはレストコントールやサービスタイムという休憩時間や、

 壊れた車両を修繕する時間があります。この時間もオフィシャルによって

 決められていますが、この時間をオーバーして再スタート予定時刻に

 遅れた場合などに加算される減点です。

 

 こちらの減点は大きく遅れてしまうと、「失格」(リタイア)となるケースもあります。

 

表彰式での1コマ

 ほとんどのラリーが上記の減点方法で採点され

ラリー大会中に 減点の合計が一番少ないクルーが優勝となります。

 

皆さんがビデオなどで見ているWRCなどは、ほとんどが上記の減点方法の

AとBで構成されています。それに対して日本国内のラリーは、

@ABの組合せで構成されており初心者向けのイベントでは@の比率が多く、

イベントのレベルが上がって行くにしたがって、Aの比率が多くなって行きます。

現在、日本国内での最高峰ラリーの全日本選手権は、

ほぼWRCと同じ構成で開催されています。 

 

何事においてもそうですが、やはり成績が良いのは嬉しいことです。

ドライバーとの練習、イベント出場を多くこなして上位入賞を目指してください。

 

                             

 

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